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珈琲飲み
中根 光敏
(ナカネ・ミツトシ)
珈琲の向こうに世界が見える
「うかつにも珈琲に、夢中」と書かれたキャッチコピーに魅かれて、ページをめくると、とんでもなく奥深いコーヒーの世界をかいま見ることになった。 「珈琲飲み」と題された中根先生の本には、コーヒーを愛するあまり、超えてはならない一線を越えてしまった男のコーヒー格闘歴が記されている。美味しい珈琲を求めて珈琲店を遍歴するだけでは飽き足らず、ついには店で修行をはじめたり、生豆を仕入れて自家焙煎に挑戦したり、あげくの果てには海を越えてコーヒー農園にまで行ってしまうなど、学問を生業とする人の探究心と行動力には並々ならないものがある。大抵の人が見逃してしまう謎も、中根先生はとことん向き合ってみるのだ。定評のある“美味しさ”に容赦なく疑念の目を向けたかと思えば、コーヒーの市場価格のタネあかしに挑んだりもする。一杯の珈琲からはじまって、文化の成り立ちや世界までを俯瞰する視点は見事としか言いようがない。
ただ断片的に存在していた情報も、先生のような探求者がいてくれるおかげで、体系化された学問となり、世界の有り様が見えてくる。珈琲からたちのぼる湯気と魅惑的な香り…。その向こうにいま、先生はどんな世界を見ているのだろう?
web限定のおすすめ情報
「コーヒーで社会学?」と不思議に思った皆さんには、ぜひ一読してほしい中根先生の「珈琲飲み」。取材中も世界の珈琲店や先生お気に入りの生産地など、コーヒーに関する興味深いあれやこれやをたくさん教えてもらいました。好きなこと、興味のあることから、世界の有り様を紐解く「学問」という楽しい体験!大人になって忘れかけていた知的好奇心がくすぐられる貴重な時間でした。
●書籍の紹介
珈琲飲み「コーヒー文化」私論
洛北出版 ¥2,400
●講演会のお知らせ
「コーヒーを楽しむ会」
昨年、世界初の缶コーヒー「ミラコーヒー」発祥の地、浜田市で開催された金沢大学の公開講座。大好評だった講座が今年も帰ってきます!今回は缶コーヒーの父・三浦義武さんが生み出したヨシタケコーヒーの再現に、中根先生と浜田市子ども美術館の神英雄学芸員が挑戦します。どちらのコーヒーが本物に近いか興味津々! 詳細が決まったら、お知らせします。
開催日時:9月12日、13日
web限定フォトギャラリー
写真撮影:吉岡早百合 / 文:寿山恵子

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