普通の人のすごい事

広島でがんばっている普通の人のすごい魅力を紹介するフリーペーパー

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vol.31表紙

vol.31
2019年
12月1日発刊
  • すごい事
  • 241
  • から
  • 248

245

メンズ サロン・アキノブ 店主

秋信 隆

(アキノブ・タカシ)

歳月を重ねても、なお衰えない「好き」のパワー

fs245_sub01「なじみのお客さんはね、散髪する時、好きなCDを持ってきて、コイツで聴かせてくれって言うんですよ」そういって秋信さんが指差したのは、お店の片隅に置かれた真空管アンプたち。驚いたことに全て自分で作ったものだという。猿猴橋近くにある秋信さんのお店は再開発ですっかり様変わりしたものの、もともとは戦前から続く老舗理髪店。秋信さんはその4代目で、5代目は既に他所で修行中だという。実はアンプ製作の他に、よろずコレクターの趣味も持つ秋信さん。趣味の話やお店のことを聞いていると、古い写真や雑誌、明治時代のバリカンなど、次々とレトロなお宝が飛び出し、机の上はあっという間に玩具箱をひっくり返したような状態となってしまった。そんな中でも真空管アンプは、秋信さんにとってとびきりの玩具なのだろう。真空管の面白さについて語る秋信さんの瞳は少年のようにきらきらと輝いていた。
「真空管はね、近づいても離れても音がまったく同じに聴こえます。それは筒全部が波動として鳴っているからなんですよ。そして、この波動こそが原音を忠実に再現してくれるんです」そう言って、聞くのが早いといわんばかりに、アンプで音楽を再生し始めた秋信さん。すると、心地よい音の波があたりを埋め尽くし、音の海に包まれているような不思議な感覚が押し寄せてきた。そして、音の余韻までもが肌を通して伝わり、五感をダイレクトに揺さぶる。秋信さんがはまってしまった、原音を再現する魅力とはこれのことかと思わず納得してしまった。

fs245_sub02かつて秋信少年が初めて真空管アンプ作りに挑戦した時、電気屋さんのご主人が「今のアンプはメーカーが作った音じゃけぇ、本物の音は自分で作りんさい」と助言してくれたという。あれから55年、今も秋信さんは本物の音を探し求めている。

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ひろしまビッグフロントの1階にある『メンズ サロン・アキノブ』。再開発のおかげでずいぶん様変わりしましたが、同店は秋信さんのおじいさんが戦前に開業した老舗理髪店。残念なことにおじいさんは原爆で命を落とされましたが、戦後、中国大陸から復員されたお父さんが焼け跡に「BARBER」の看板を掲げ、お店を復活させたそうです。

そうしたバックボーンに加え、生来の取集魂も影響して、秋信さんの元には広島の「これまで」を知るお宝がいっぱい! 取材中も古い写真や雑誌が飛び出し、私たち編集部を驚かせました。そんなお宝の中でもひときわインパクトがあったのは、やっぱり秋信さん自身が作ったという真空管アンプたちです。音楽が鳴り始めた途端、温もりを帯びた心地よ〜い音に、私たちもメロメロにになっちゃいました。常連さんたちがお気に入りのCDを持ってきて、これで聞かせてくれというのもよくわかります。秋信さんによると、デジタルの音も真空管を通すと、面白い音になるのだとか。興味のある方はぜひCD持参で散髪に訪れてみてください!

 

●メンズ サロン・アキノブ

(住)広島市南区松原町5-1

(営)9:00〜17:30

(休)月曜・第3日曜

(tel)082-261-0326

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写真撮影:吉岡早百合 / 文:寿山恵子

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